2007年08月22日

非営利団体のマーケティングA―ソーシャル・マーケティング

 マーケティングの中でも非営利組織に一番関係してくるのが、「ソーシャル・マーケティング」という手法でしょう。
これは、社会に役立つアイデアを開発して広めていくことですが、そこにマーケティングの手法を取り入れていくのです。

 たとえば、タバコのポイ捨てや地球温暖化防止などのキャンペーンを張って、それを多くの人に広めていくような場合です。
 一番記憶に新しい成功事例としては、「ホワイトバンド」の「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンがあげられるでしょう。

 ソーシャル・マーケティングには以下の4つの手法があります。

@マーケティング・リサーチ
 効果的なアピールの仕方を考えるために、マーケットを調査します。
 たとえば、禁煙キャンペーンを展開するにあたっても、喫煙者と非喫煙者、大人と子ども、男性と女性では喫煙に対する認識や態度が違ってきます。
 マーケティング・リサーチではそれらの違いを明らかにし、それぞれに対してどのようなアプローチが適切かを考える手助けになります。

A製品開発
 ただ頭ごなしのキャンペーンを行うだけでは、反対する人たちの反発を買うことにもなりかねません。また、そのキャンペーンを行うことで、不利益を被る人たちが出てくることも考えられます。
 そういった人たちの反対をおさえるためには、代替となる製品やサービスを同時に提供することが必要になります。
 たとえば、携帯電話を使いながらの片手運転を防止するキャンペーンを展開する場合、携帯電話を車内に固定して手を使わずに携帯を使用できる「ハンズフリー」という装置の使用も同時に提示するのです。

B誘引の使用
 単なるメッセージの発信だけでなく、人々の興味を引くようなアイテムや手法などを用いることです。
 「ホワイトバンド」などは、まさにこれに当たります。

C誘導化
 同意するだけで実行に移せなければ何にもなりません。具体的な方法を示して、人々を実行へと誘導していく手法です。
 たとえばアルコール依存症の防止キャンペーンでは、それを受けて依存症から立ち直ろうと決意した人のために、治療施設や自助グループの紹介をしていきます。ただ「アルコールに依存するのをやめましょう」と訴えかけるだけでは不十分なのです。
 ソーシャル・マーケティングでは、新しい行動を取るよう人々に訴えかけるだけではなく、その行動を維持していける方法まで配慮していくのです。

 最後に、今マーケットの分野で注目されている考え方に、「ソサイエタル・マーケティング」というものがあります。これは顧客と社会の幸福を維持・向上させながら、すぐれた価値と満足を提供していくための考え方です。

 今まで企業が取り組んできたのは、主に顧客のニーズや欲求に応じて製品を作る短期的なマーケティングでしたが、それが必ずしも顧客の長期的な幸福につながらないという矛盾もはらんでいました。その一つの例としては、ファーストフード業界の販促キャンペーンなどがあげられます。

 その反省から現れてきたのがこの「ソサイエタル・マーケティング」という考え方で、マーケティングの方向性を決めるとき、「会社の利益」と「消費者の欲求」、そして「社会の利益」という三つの要件のバランスを考えるのです。
 つまり、消費者を喜ばせ、会社としての利益をあげると同時に、社会全体のためにもなる製品を開発していこうという流れです。

 このように、企業とNPOの接点はますます広くなってきていますので、今後は企業とNPOがパートナーシップを結んで商品を開発していく事例も多くなっていくことが期待されますね。
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2007年08月20日

非営利団体のマーケティング@

 今日はマーケティング論の第一人者として知られるフィリップ・コトラーの著作から、非営利組織のマーケティングについて紹介します。

 一般的にマーケティングが必要となるのは、売り手市場ではなく買い手市場になったとき(つまり、競合相手がたくさん出てきて、顧客の争奪戦が行われるようになったとき)で、非営利セクターも近年、明らかに買い手市場になってきています。
 それはつまり、非営利組織もマーケティングを意識しなければ、簡単に人を集められなくなってきていることを意味します。

 コトラーは非営利組織のマーケティングとして以下の特徴をあげています。

@非営利組織は何通りもの公衆に向かい合っている
 非営利組織は少なくとも二通りの公衆に対して活動しています。
 一つは顧客・利用者で、もう一つは資金の提供者(ボランティア参加者もこれに当たるでしょう)です。
 前者はサービスを提供するために必要であり、後者は組織を運営するために必要になります。
 非営利組織でマーケティングを行う際は、この二種類の顧客それぞれに対して、別々のマーケティング・プログラムを組み立てる必要があります。

A非営利組織は複合的な目的を求める
 非営利組織の目的は単なる利益の追求ではなく、複合的で長期的な目的を追求しています。
 その複合的な目的を追求するためにも、それぞれに違ったマーケティングプログラムが必要となってきます。

B非営利組織はモノではなくサービスをあつかう
 非営利組織でマーケティングを展開するためには、モノとサービスの違い、サービスの特性を理解しておく必要があります。
 サービスの特性は以下の四つです。

A. 無形性
 モノと違ってサービスには形がありません。
 そのため、サービスの信用度を高めるためには、その信用性を保証する必要があります。
→ボランティア活動でいえば、公共機関の推薦・登録、研修・教育を受けたという証、マスコミで取り上げられた記事などによって、サービスの信頼性を高める必要があります。

B. 不可分性
 サービスは、サービスの提供者と顧客の両方がいなくては成り立ちません。
 そのため、サービスとそれを提供する「ひと」とは分けて考えることができず、サービスを受ける顧客もサービスという製品の一部になります。
→ボランティア活動でいえば、ボランティアという行為と、それを行うボランティアを分けて考えることはできません。
 サービスの質を一定に保つためには、ボランティアの教育が必要不可欠になってきます。

C. 変動性
 サービスは誰が提供するかということで変わってしまうし、いつ提供するかによっても変わってきます。サービスは生産と消費が同時に行われるために、品質管理が非常に難しいのです。
→そのため、その品質を少しでも一定に保つために、メンバーやボランティア参加者の教育・スキルアップのための研修・勉強会等が必要になってくるのです。

D. 消滅性
 サービスは在庫として蓄えておくことができません。
 そのため、顧客が集まらないことによってサービス自体が成立しないこともありうるのです。
→そのリスクを避けるためにも、顧客のマーケティング(人が集まりやすい時期・時間・内容は何かを調べるなど)が必要になってきます。

C非営利組織は企業に比べると公衆の注目を集めやすい
 たとえば難民救援活動をしている団体の職員が、募金で集めたお金を私的に使ったとしましょう。そのときの世間の風当たり、マスコミの注目度は、明らかに企業よりも大きいのです。
 あるミッションの元で活動している非営利団体が、そのミッションに反する行動をとった場合に受ける批判は、一般の企業や団体よりも大きいということを知っておく必要があるでしょう。
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2007年08月14日

ドラッカー『非営利組織の経営』G―非営利組織の成果3

今日は「まとめとしてのアクションポイント」の中から、重要な内容だと思われるところを抜粋して紹介します。


1、成果のあるところに資源を投入する
・企業と非営利組織の違いは多くないが、最も重要な違いが成果である。

・非営利組織にはもともと成果を軽視する傾向がある。「われわれは大義を奉じている。神の仕事をしている。人の人生をよりよいものにしている。したがって仕事そのものが成果である」という。
 だが、それではよい仕事はできない。企業が成果のありえないところで資源を浪費すれば、失うのは自社の資金である。ところが非営利組織では失うのは人の金である。寄付してくれた人の金である。したがって、非営利組織といえども、寄付した人に寄付金の使途を説明できなければならない。

・成果の問題は非営利組織にとって厄介な問題である。よき意図だけでは転落の道をたどる。

・成果は一種類ではない。直ちに得られる成果もあれば長期的な成果もある。


2、成果を明らかにする
・成果は組織の内部ではなく外部にある。

・もちろん、ミッションからスタートしなければならない。ミッションこそ重要である。組織として、人として、何をもって憶えられたいか。ミッションとは、今日を超越したものでありながら、今日を導き、今日を教えてくれるものである。ミッションを失った瞬間、我々は迷い、資源を浪費する。ミッションが明らかでありさえすれば、目標を設定して進むこともできる。

・非営利組織は活動分野ごとに成果を定義しなければならない。主な活動分野を一つひとつ精査していく必要がある。


3、成果に責任をもつ
成果は集中によってあげられる。あの大組織である救世軍でさえ、もっているプログラムは数種類にすぎない。救世軍には「それは我々のものではない。他の人たちの方がうまくやれる」あるいは、「それは我々が得意とするものではない」「我々が最大の貢献ができることではない。我々の強みに合ったものではない」という勇気がある。

・非営利組織にとって重要なことは、「それは得意とするものではない。我々が行ったのでは害をなすだけである。ニーズがあるからというだけで手掛けるわけにはいかない。我々としては、我々の強み、ミッション、価値観をマッチさせなければならない」と言えることである。

・これが「我々のミッションである」とのミッション・ステートメントだけでは不十分である。「これが我々のやり方である。我々の期限である。我々の責任者である。我々が責任をもってやることである」と続けなければならない。

・プランだけでは仕事は行われない。方針だけでも行われない。仕事として行って初めて行われる。生身の人間が行って初めて行われる。期限を切られた者が行った初めて行われる。トレーニングを受けた者が行った初めて行われる。評価される者によって行って初めて行われる。成果に責任を持つ者が行って初めて行われる。

・非営利組織に働くあらゆる者が何度も何度も繰り返すべき究極の問いは、「自分はいかなる成果について責任を持つべきか、この組織はいかなる成果について責任を持つべきか、自分とこの組織は何をもって憶えられたいか」である。



これらのドラッカーの言葉から個人的に感じることは、非営利組織もある意味でプロフェッショナルにならなければならないということです。
それは地域にある問題を解決するプロフェッショナルであり、人を育てるプロフェッショナルであり、社会に価値を生み出すプロフェッショナルです。

それぞれが活動している分野・地域において、いかなる成果をあげ、より良い社会を築くためにいかに貢献できるか。私たち非営利団体で活動する一人ひとりが、このことを日々真剣に自問自答しながら、活動・組織をレベルアップさせていく必要があると感じます。
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2007年08月07日

ドラッカー『非営利組織の経営』F―非営利組織の成果2

ドラッカーは非営利組織と企業との最大の違いは、「非営利組織には多様な関係者がいるところにある」といいます。
そして、非営利組織の経営が時として企業経営より難しいと言われるのも、この多様な関係者の利害関係のゆえです。

それに対し、ドラッカーは次のように言っています。

「非営利組織にとって最も難しい問題が、これらあらゆる種類の関係者から、長期の目標について合意を得ることである。長期の目標以外に、すべての関係者の関心を調和させる方法はない。
 短期の成果に焦点を合わせるならば、支離滅裂となるだけである。」


つまり、関係者の合意を束ねるときは、短期の成果に注目するのではなく、長期の目標であるミッションやビジョンに目を向けるということです。

しかし、ミッションやビジョンという長期の目標を追うからといって、決して成果をなおざりにしてもよいというわけではありません。
ドラッカーは次のように指摘します。

「資源は成果のあがるところに投入しなければならない。成果をあげることのできない活動を続けることはできない。
 ところが、すべては大義のためであり、成果の有無にかかわらず理想を追求すべきであるとすることが、非営利組織に特有の傾向である。特に、非営利組織の理事会において見られる傾向である。しかし、たとえ大義であろうとも成果はあげたほうがよい。大義は手持ちの資源では賄いきれないほどにある。」

「非営利組織といえども、寄付者、顧客、有給・無給のスタッフに対し、資源は成果をあげるところへ投入する責任を負っている」


以上のドラッカーの言葉からもわかるように、非営利組織の責任とは、与えられた資源を有効活用して成果をあげ、社会に変革をもたらすことであると言えるでしょう。

この回の最後に、私自身も非常に感銘を受けたドラッカーの以下の言葉を紹介します。

「非営利組織とは、人を変えるためのチェンジ・エージェントである。その成果は、人の変化、すなわち行動、環境、ビジョン、健康、希望、そして何よりも能力と可能性の変化となって現れる」

私も非営利組織は人と社会を変えることが大きな使命だと思っています。ぜひチェンジ・エージェントとしての使命を自覚してがんばりましょう。
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2007年08月06日

ドラッカー『非営利組織の経営』E―非営利組織の成果1

次の項目は「非営利組織の成果」についてです。
これは今、非営利組織が抱える最も重要で深刻な問題だと思いますので、再び数回にわたって紹介します。

ドラッカーは次のように語っています。

「非営利組織は成果を重視しない傾向がある。ところが成果は、企業よりも非営利組織において大きな意味をもつ。しかも、成果は企業よりも非営利組織においてこそ把握と測定が難しい」

う〜ん、さすがドラッカー。実に鋭いですね。

また、次のようにも言っています。

「非営利組織は顧客のニーズに応えているといえるだけでは不十分である。顧客の欲求を生み出さなければならない」

これはマーケティングでいえば、「ニーズ」と「ウォンツ」の関係にあたるでしょう。
ニーズは必要性、つまり顕在化している欲求のことですが、ウォンツはまだ必要性を感じていない潜在的な欲求です。つまり、顧客がまだ気づいていない欲求のことです。

今はまだなくて困っているわけではないですが、提示されて初めて「そうそう!こういうものがほしかったんだよ!」と気づくものです。
ウォークマンや携帯電話などがその代表例でしょう。

非営利組織でいえば、世間の人がまだ気づいていない問題点や不公正さにいち早くスポットをあてて、その解決のためのプロジェクトを立ち上げるといったことになるでしょう。

さて、まずドラッカーは、成果を定義することの重要性を説いたうえで、そこには二つの落とし穴があると言っています。

一つは、大義だけを唱えることです
大義がすべてであって、支援しないのは支援しないほうが悪いと考えることです。
重要なことは限られた資源を成果の期待できるところに集中することであって、できない約束をすることではありません。

もう一つはその逆に、大義の追求を考えずに成果を求めることです。
つまり、自分たちのミッションに合っているかどうかを考えずに、お金を集めやすい人気取り的なプロジェクトに力を入れることです。

大義を追求しつつも、しっかりと一つひとつのプロジェクトの成果を測っていくことが大切だということでしょう。
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2007年08月04日

ドラッカー『非営利組織の経営』D―非営利組織のマーケティング

今回は非営利組織のマーケティングについてです。

ドラッカーは非営利組織には四つのものが必要だといいます。

それは、
@プランニング
Aマーケティング
B人
C資金

の四つです。
マーケティングも非営利組織の重要な活動の一つなのです。

ドラッカーは、非営利組織のマーケティングも企業のそれと同じだといいます。
違うのは、非営利組織は目に見えないものを提供する、顧客にとって価値あるものを提供するということです。
そのため、非営利組織は顧客を中心において、顧客にとって大事なことは何か、彼らの心をとらえるにはどうしたらいいかを考えなければならないのです。

そして非営利組織のマーケティングにおいて特に留意すべきことは、強みに集中させることと、あらゆる関係者を知ることということだといいます。
非営利組織には企業以上に利害関係者(ステークホルダー)がたくさんいます。
それら関係者一つひとつのニーズと、彼らが何を価値あるものを考えるかを把握することが必要なのです。

また、マーケティング論の生みの親フィリップ・コトラーは、マーケティングは以下の5つの段階を踏んで行うのだと言っています。

@マーケットリサーチ
 まずマーケットをよく調べ、情報を集めます。

Aセグメンテーション
 次にそのマーケットを細かく区分します。
 たとえば、年齢、性別、地理、所得、ライフスタイルなどです。

Bターゲティング
 マーケットを細分化したら、自分たちの団体がアプローチすべきターゲットを決めます。
 もちろん、自分たちの団体の強みを一番生かせるところがベストです。

Cポジショニング
 ターゲットが決まったら、そのセグメントの中で、自分たちの団体をどう位置づけるかを決定します。
 このとき、同じセグメントをターゲットにしている団体が他にあれば、その団体との差別化を図ることが必要になってくるでしょう。

D仕事の設計
 そして、そのターゲットに売り込んでいくための具体的な方策を考えます。


最後に、ドラッカーとコトラーは対談の中で、それぞれ次のように語っています。

ドラッカー「ということは、マーケティングとは全員の仕事である、顧客と関わりをもつ者全員の仕事であるということですね。つまり、マーケティングとはある特定の職能ではなく一つの基本的な姿勢だということであり、目的を達成する用意のできた組織が成果を生み出すための行為すべてを言うわけですね。」

コトラー「マーケティングとは、外の世界のニーズや欲求と、組織の目的、資源、目標などを一致させるための活動です。」


つまりマーケティングとは、非営利組織で活動するすべての人が関わるものであり、非営利組織が大きな成果をあげるためには避けて通れないものだと言えるでしょう。

※コトラーの非営利組織におけるマーケティング論については、後日別途紹介します。
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2007年07月27日

ドラッカー『非営利組織の経営』@―ミッションの三本柱

今日から数回にわたって、“経営学の父”ピーター・ドラッカーが非営利組織のマネジメントについて書いた『非営利組織の経営』という本のポイントを紹介します。

第一回目はミッションについてです。

非営利組織において大切なのは“ミッション”ですが、リーダーはいかなるミッションが有効であって、いかなるミッションが無効であるかを判別しなければならないとドラッカーはいいます。

有効なミッションとは、以下の三つのポイントをおさえたものです。

1、機会は何か、ニーズは何か
 第一にそのミッションが対象のニーズに適っているということが大前提です。
 いくらすばらしいミッションを掲げたとしても、誰もそれを必要としていなければ意味がありません。

2、それは我々の向きの機会であるか
 次に、その機会・ニーズが自分たちの団体に合っているかどうかを判断しなければなりません。
 自分たちならばよい仕事ができるものなのか、自分たちの強みに合っているかどうかです。

3、そのミッションの価値を信じているか
 最後に、そのミッションの価値を自分たちが本当に信じているかどうかです。
 メンバーが本当にやりたいと思うものでなければ、絶対に達成できません。

 ミッションの選定においては、以上の三つ、つまり機会、卓越性、コミットメントの三つの要素を考えることが大切です。

 さらにドラッカーはこのようにも指摘します。

 「最も犯しやすい過ちが、ミッションによき意図を詰めこみすぎることである。
 ミッションはシンプルかつ明確にしなければならない。
 仕事は、一つ追加したならば一つ削除しなければならない。
 それほど多くのことができるはずがない。

 何かを加えたら何かを廃棄しなければならない。
 常に、最も役に立つものは何か、あまり役に立たなくなったものは何か、
 意義を失ったものは何かを検討していかなければならない。」


 定期的にミッションを検討していきながら、もし方向性が変わったり、自分たちを取り巻く状況が変化した場合には、一つのミッションを廃棄して、新しいミッションを立てるということも必要になってくるということでしょう。
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2007年07月19日

ミスティークを感じるか? ハーレーを復活させたコンセプト

今日は、アメリカの有名なオートバイメーカー、ハーレーダビッドソンについてのエピソードを紹介します。

ハーレーといえば独特の重量感のあるデザインで有名で、世界中に多くの熱狂的なファンを抱えていますが、そんなハーレーも1980年前半に一時期、深刻な経営危機に陥ったことがありました。
それはライバルであるホンダに経営支援・技術支援を求めたほどで、存亡すら危ぶまれるほどだったといいます。

しかし、その後ハーレーはその危機を乗り越え、見事復活を遂げます。
その復活のきっかけのなったのが、以下の三つのコンセプトだったと言われています。

@Heritage(遺産・遺産)
ATradition(伝統・歴史)
BMystique(神秘的な感じ・天命)

@とAに関してはなんとなくわかると思います。
1903年にダビッドソン兄弟によって創設されたハーレーダビッドソン。
その歴史と伝統、そして先人たちが遺してきた遺産に立ち返ろうというコンセプトです。

問題はBの「Mystique(ミスティーク)」です。
これは「神秘的な感じ、天命」と訳されますが、「天からの召命・導き」のような意味合いです。
要は、「この商品は自分たちが作ったのではない。作るように導かれた。Something Grateによって私たちを使わしめた作品だ!」という感覚です。
つまりハーレーの社員たちが、「自分たちがオートバイを作っているのは天命によるものだ。私たちは何か神秘的な力によって、このオートバイを作るよう選ばれたのだ!」という感覚を持てるようにしたというのです。
この感覚がハーレーの社員たちに誇りをやる気をもたらし、奇跡の復活の原動力となったのです。

これは特にミッションを中心とした共同体であるNPOやボランティア団体には、非常に大切な感覚ではないでしょうか?

私たちの団体は何のために生まれたのか?
それはこの使命を果たすためである!
私たちの団体はこの問題を解決するために選ばれたのだ!


もしこのような感覚を団体のメンバーの多くが感じることができるようになれば、その時、その団体は飛躍的な発展を遂げるのではないでしょうか?
そして、そのような感覚をいかにメンバーにもたせられるか。それを考えるのが、リーダーの重要な役割であると言えるのではないでしょうか?

posted by Arthur at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | マネジメント・組織運営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月28日

ボランティアのリクルート

今回は、アメリカ・Points of Light財団の教育プログラムから、ボランティアのリクルートの手順と方法について紹介します。

●リクルートとは?
ビジョンを他の人と共有して、その人がみなさんの将来への展望がとても価値があるものだと感じて、その団体に加わりたいと確信させることを意味します。


●リクルートとボランティアの人材配置を効果的に行うための3つのステップ

1、業務規定書を戦略的に練って作る
2、利点を売って、特長を共有する
3、ふさわしい人をふさわしい場所に配置する



1、業務規定書を戦略的に練って作る
 たとえば、まだ業界で十分に活用されていないボランティアとして以下の人たちがあげられます。

 ・学生や若者
 ・不定期に参加するボランティア
 ・企業のボランティア
 ・高齢者、退職者

 こういった十分に活用されていないボランティアをいかに活動に巻き込むかがポイントです。そのためには彼らにとって魅力的な業務規定書を作らなければなりません。

 たとえば、下記のような業務を用意します。

 ・1日で終わる業務
 ・早朝、夕方、週末にできる業務
 ・特別なスキルを要求しないもの(簡単な研修を用意する)
 ・ボランティアに関心のない人にとっても魅力的なもの
 ・離れていてもできるもの
 ・通常ボランティアをしていない団体に興味をもたせるもの

 こういった新しい人を巻き込めるような業務を用意し、その業務内容を説明した業務規定書を作るのです。


2、利点を売り、特長を共有する
 マーケティングと同じで、リクルートも相手にとってメリットになると思える何らかの特長が必要です。
 たとえば、以下の商品をみなさんが買うのはなぜでしょうか?

 チューインガム → おいしい、気分を落ち着かせる
 アスピリン → 痛みが和らぐ
 蛍光マーカーペン → 勉強に役立つ、効率アップ

 みなさんがこれらのものを買うのは、それらが持つ有益性や魅力についてよく知っているからです。
 ボランティアもこれと同じで、ボランティアをすることでどんなメリットがあるのかを明確にして、そのイメージをよくしていく必要があるのです。

 以下は非常に魅力的なリクルート広告の一つの見本です。


定期的な運動をするのは困難ですか?

「シルバー・スプリング・ホーム」のシニア水泳クラブの運転手をしていただけませんか?

週に一度、シニアのクラブメンバーをプールに連れていき、みなさんもプールに行くことができます。
加えて、YMCAのプール利用券を無料で差し上げます。
皆さんにしていただくことは、ただ運転だけです。

必要とされるのは下記のことだけです:

・午前7時から10時まで水曜日の午前中が可能であること
・運転免許証、自動車保険、最低3名が乗ることができる座席がある車
・喜んで人助けしようとする気持ち


 このように、広告のキャッチフレーズや内容を工夫して、「これだったら自分にもできる。参加してみたい!」と思わせるようにするのです。
 特に写真を活用するといでしょう。写真は見る人により強いインパクトを与えるからです。


3、ふさわしい人をふさわしい場所に配置する
 当たり前のことですが、これが非常に重要です。そのためには三つのステップがあります。

@ボランティアの候補を選別します。
 選別する目的はボランティアとして業務を行っていくにあたって、最小限の必要条件を備えているかを確認するためです。

Aボランティアスタッフと面接します
 面接の目的は以下の通りです。

 ・どの業務が適しているかを認識する
 ・その業務を行うために、どのようなサポートを必要としているかを把握する
  (例:オリエンテーション、監督など)
 ・その人のことをよく知る
 ・団体について理解してもらう
 ・その候補者が団体に合っているかどうかを見極める

 そして、面接では下記のことも把握します。

 ・関心事
 ・動機
 ・制約されること
 ・ワークスタイル 
 ・期待
 ・その他

 面接は試験ではないので、あまりプライベートなことを聞いてはいけません。
 面接はボランティアとより近い関係を築くとともに、どんな業務に関心があるのか、どのようなサポートを望んでいるのかを把握するために行います。

B必要に応じて、ボランティア業務規定を修正する
 もし、ある人に対していい印象を得てその人を採用したいと思った場合、その人と業務がよりよくかみ合うように、時折ボランティア業務規定を修正することも必要でしょう。
 その業務規定が彼らがその経験から得たい内容を反映しているかどうかを確認するのです。

 以上のように、リクルートにおいてはボランティアの業務規定を作ることが大切です。
 業務規定を作れば、ボランティアに何を期待し、どういうことをすればいいのかが明白となって適した人材を探しやすくなるからです。
posted by Arthur at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | マネジメント・組織運営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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